オバマ大統領訪問の地ならしか…ケリー国務長官が広島・平和記念公園を訪問へ
原爆投下正当化する米世論なお根強く…
2016.4.4 06:30
原爆投下正当化する米世論なお根強く…
2016.4.4 06:30
【ワシントン=青木伸行】
米国務長官では初めてとなるケリー国務長官の広島訪問は、オバマ大統領が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の際に広島を訪れるかを判断する上での“試金石”になるとみられ、注目される。
これまでに広島を訪れた米政治家では、大統領権限継承順位が副大統領に次ぐ、民主党のナンシー・ペロシ下院議長(当時。2008年訪問)が最高位。国務長官は筆頭閣僚に位置づけられ、ケリー氏は閣僚として最高位の広島訪問となる。
ケリー氏は各国の外相とともに、広島市の平和記念公園を訪問する。
広島などでの平和記念式典に昨年、キャロライン・ケネディ駐日大使と参列したガテマラー国務次官は、オバマ氏の広島訪問について「ホワイトハウスで検討されている。大統領は広島を訪問できれば光栄だと話している。
いつ、どのように実現するかは彼が決めることだ」と述べた。
訪問の是非の判断と決断はひとえに、オバマ氏自身とホワイトハウスにかかっている。米政府筋は「現時点では決まっていない。ケリー氏の広島訪問の反響を見るまで、大統領の訪問の可否が決定されることはない」としている。
日米両政府はケリー氏の訪問と、オバマ氏が訪問する場合の主な意義を(1)原爆死没者を慰霊し、世界の恒久平和を祈念(2)日米の“歴史問題”の払拭に努め、絆を強化(3)オバマ氏が09年、プラハ演説で打ち出した「核兵器なき世界」の強調-と位置づけている。
一方で、米政府が懸念しているのが、オバマ氏の訪問で「謝罪を強いられる可能性」(関係者)だ。米国内には退役軍人を中心に、原爆投下を正当化する世論も根強く、反発を招く恐れがあるためだ。そうなれば、大統領選の行方にも微妙な影響を与えかねない。
これらに対する国内外の「反響」をオバマ氏は、ケリー氏の訪問を通じて見極め、「大統領として日本を訪問する最後の機会に、日米関係がさらに良くなる努力」としての広島訪問の是非を、判断するとみられる。
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